日本の対米外交と東京ドリーム学園

英国の国民投票で英国のEU離脱派が勝利した後、米国大統領選挙が、「本命」で民主党ヒラリー・クリントン氏が落選し、あろうことか、共和党のドナルド・トランプ氏が勝利した。まぁそれはいい。
現職のオバマ大統領は、来年1月19日一杯までまだ任期が残っているというのに、我が国の総理大臣殿は、早速朝貢外交に打って出た。TPPに乗る気がないトランプ氏に翻意させると息巻いて日本を旅立った。
レイムダックとはいえ、現役のオバマ大統領に失礼千万というものだ。
それをまた、日本のテレビ局は「安倍-トランプ会談」と積極的に報道している。
東京ドリーム学園に集う留学生はどう感じただろう。
某国営放送に至っては、「世界が注目しています」とのことだ。
何と、かの「トランプタワー」前に陣取った各局の取材陣と記者たちが取った情報は、総理大臣がトランプ氏に、50万円するゴルフクラブを土産としてプレゼントしたという話だ。
他は全く収穫ないに等しい。官邸の広報戦略に日本のマスメディアは全くのせられている体たらくだ。
日本における米軍基地の維持費の75%を日本政府が負担していることや日米地位協定の片務性については全く触れられないままだ。
まして、現在繰り広げられている沖縄辺野古や高江の悲惨な状況について、全く話題にならなかった。
東京ドリーム学園の留学生にも当然のことながら、「摩訶不可思議日本」と映っているだろう。
世界主要国の論評もそれに倣っている。
挙句の果て、アメリカはハワイの真珠湾パールハーバーの訪問というオマケまでついた。
ところで、日本は米国の51番目の州だとの指摘があって久しい。
だが事ここに至っては、もはや日本は米国の「植民地」ではないかと疑りたくなる。
古代日本から平安期にかけて、日本の朝貢外交の相手は中国だった。それを日本があまりにも米国を崇め奉るものだから、この現象を「朝貢外交」として揶揄するのは理解できる。
しかし、フランスのオーランド大統領が、ドイツのメルケル首相が、あるいは英国のメイ首相が、トランプ氏に挨拶の訪問をしただろうか。
東京ドリーム学園に通学する留学生の母国首脳が、総理大臣が変わる就任前に、来日してその総理大臣に表敬訪問をしたことがあるのだろうか。
日本は大事なプライドを失っているとしか思えない。