日本のTPP交渉と東京ドリーム学園

米国大統領選挙まであと2か月を切った。民主党ヒラリー・クリントン候補か、共和党のドナルド・トランプ候補か、一体どちらに勝敗の帰趨が決まるのか。
報道番組で何度も報道されているので、トランプ氏もクリントン氏もTPPには反対しているのは知られている。一方で、TPP推進に向け、ひた走ってきた日本政府のスタンスがある。この彼我の差は何だろう?
それとも、実はこの大統領選挙は、「出来レース」であって、最初からヒラリーが勝利するのが決まっているのではないか?ヒラリー大統領なら、必ずTPP推進派に鞍替えする、そして日本政府はそれを見越してTPP推進に躍起となっている、との指摘もある。
TPPといえば、東京ドリーム学園に参集する留学生出身国の国益にも影響がでる。
ベトナム、カナダ、韓国、フィリピン、中国(左記は3国は未参加国)は、東京ドリーム学園に集う留学生(7割以上)の自国の産業育成に大きく関わっており、無関心ではいけないだろう。
TPP問題は東京ドリーム学園に縁があるのか?TPPのメリットとデメリットを整理しよう。
TPPのメリット】
関税の撤廃により輸入食品が安くなる。
関税引き下げにより貿易の自由化が進み日本製品の輸出額が増大する。
貿易障壁の撤廃により大手製造業企業にとっては企業内貿易が効率化し、利益が増加する。
鎖国状態から脱しグローバル化を加速させることにより、GDPが10年間で2.7兆円増加(内閣官房試算)と見積もられている。
TPPのデメリット】
海外の安価な商品が流入することによるデフレ誘因の可能性がある。
関税の撤廃により米国などから安い農作物が流入し日本の農業が大きな打撃を受ける。
食品添加物遺伝子組み換え食品・残留農薬などの規制緩和により食の安全が脅かされる。
医療保険の自由化・混合診療の解禁により、国保制度の圧迫や医療格差が広がる。
350万人の雇用喪失、GDP8兆円減少、食糧自給率の低下(農林水産省試算)
TPPの問題点】
(ISD条項)
海外進出企業を保護するために優遇策が適用され、例えば日本政府が「欠陥原発」の廃炉を決定した際、米国の企業や投資家が損失・不利益を被ったとして、日本の国内法を無視し国際投資紛争解決センターに提訴することが可能⇛永遠に脱原発が不可能。
(ラチェット規定)
ラチェット規定とは、一度自由化・規制緩和された条件は当該国の不都合・不利益に関わらず取り消すことができない。離脱はいつでも可能であるが、事実上海外企業からの莫大な損害賠償請求が予想されTPP離脱は極めて困難。
TPPにメリットはあるがデメリットが致命的なのは、東京ドリーム学園留学生の母国にも、そして日本人英語学習生にも明白であろう。

沖縄;辺野古・高江の同胞にふるわれる暴力と東京ドリーム学園

  • 今沖縄が大変なことになっている。沖縄防衛局が昨年初めに沖縄県北東部に位置する東村高江に2カ所のヘリパッドを建設し、米軍に提供したため轟音響かせる米軍オスプレイの飛来が高江に急増した。年間1200回という、オスプレイの訓練は既に始まった。2016年7月10日の参議院選直後には残りのヘリパッド建設工事に向けて動員された工事に反対し、道路や出入り口を抗議の占拠するウチナンチュウ=地元住民に加えてヤマトンチュウ=本州の人々の応援に対する沖縄県警および全国都道具県警の機動隊動員部隊による過酷な暴力がふるわれている。
    ヘリパッドは、高江の集落を囲むように、全部で6箇所建設される予定で、そのうちのすでに完成した2箇所には、すでにオスプレイが配備された。村の人口は160人というのに、機動隊の数は1000以上という。異常ともいえる数の機動隊というしかない。
    高江は、ヤンパルの森という、世にも美しい緑と、豊かな種類の生き物が住む、素晴らしい森がある。豊かな自然といえば、辺野古の美しい海のそうである。沿岸は海草藻場となっており、絶滅危惧種ジュゴンが生息。甲殻類だけでも36種の新種と25種の日本新種が初めて発見された生物学的にも貴重な地域である。また、絶滅危惧種である青サンゴの大規模な群集も発見されている。個々の海底にコンクリートの塊で珊瑚は殺されていき、汚濁の土で埋め立てられようよしている。ここへも抗議する市民には容赦のない暴力が振るわれている。
    日本の現政治権力は、アメリカに自らの自然環境という生贄を差し出してまで、つまり不条理な権力の横行に苦しめられてきた沖縄を、なお一層苦痛のどん底に落とそうとしている。日本のマスメディアがキチンと報道しないから我が日本の民も、東京ドリーム学園の同胞も現場で何が起こっているか分からないでいる。
    東京ドリーム学園に集う留学生の66%のベトナムも40年以上も前はそうだった。全国の民が起ち上がり、多大な犠牲を払いながら世界最強の米軍を打ち負かし、追い出した。
    ところが日本はどうだ?グアムに撤退するという米軍に駐屯してもらいたいために、年間7000億円、1978年から累計20兆円もの金額を「思いやり予算」などと称して、米軍に貢いでいる。加えて基地周辺は性犯罪の温床となっているのに、「日米地位協定」は全くの手つかず。約4万在日米軍のうち4割が中東に出撃し、日本を護るミッションを全く持たない海兵隊であること。そんな体たらくを東京ドリーム学園の留学生が知ったら、一体何を思うだろうか。

     

日本国憲法の存在と東京ドリーム学園に集うアジアの学生

東京ドリーム学園に留学している現在の外国人学生の合計は257名。
2016年7月、学校当局からの最新データ公表によると、最も多かったのがベトナム人の170人で3分の2に達している。ベトナム戦争終結から40年以上経つが、まだまだ対米戦争の傷跡が深く残るベトナムの地から、多くの留学生が、東京ドリーム学園に来て、毎日真剣に勉強している。
次いで多いのが、東アジアの同胞たる韓国人の33名で、約13%。続いてモンゴルの25名。ネパール人の17名、中国人8名となっている。彼らの日本語は日に日に上達している。
巣鴨から新大久保まで山の手線で9分。東京ドリーム学園に通う彼ら/彼女らが、あの「ヘイトスピーチ」を目撃したら一体どう思い、感じるだろうか?日本が「進んでいる国」だと信じて留学したのに、その幻想をきっと失うに違いない。
そのヘイト云々の中身は聞く代気分の悪い代物だから、もちろんここで書くにも汚らわしいものを叫んでいるのである。あの連中は、まさに日本の恥、世界の窓、人様に顔向けすることが出来ない存在である。
日本国憲法の前文を見てみよう。
「(略)日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。(略)日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」(日本国憲法前文抜粋)何という気高い理想主義的精神だろうか。
東京ドリーム学園に留学してきた、多くのアジアの学生が日本国憲法の精神を学んできたに違いない。しかし新大久保の狂気の集団を見るにつけ、日本政治の中枢で蠢動してれている改憲運動を見るにつけ、わが日本国憲法前文に描かれた理想とのギャップに何を思うのであろうか?はたして私たちは、今起こっている政治の現状に胸を張っていられることができるであろうか?

国際平和への道と東京ドリーム学園

時の権力者が如何に拡大解釈しようと、日本国憲法の①基本的人権の尊重と②国民主権、と並んで③平和主義はまだ条文改憲されてはいません。
一方で、現状の世界の戦争地域は、もれなくアジア(アフリカは内戦の戦闘地域はあっても戦争ではありません)、それも中東と南アジアに集中しています。決して他人事ではありません。戦争の原因を作ったのは残念ながら、アメリカによってと断じざるを得ません。東アジアで戦争が起こっていないことはまさに奇跡としか言いようがありません。
何、アメリカが日本を護ってくれているおかげですって?駐日アメリカ軍4万人弱。その内40%近くが海兵隊なのです。海兵隊の任務は日本なんか護ることではありません。海兵隊は、主に沖縄の基地から出撃して、中東や南アジアで戦争に加担しに行っているのです。
ところで、東京ドリーム学園に学ぶ外国人学生の最多はベトナム人で4割強を占め、次に中国人でおよそ3割強に上り、続いて韓国人、ネパール人となっているようです。
約半世紀前にもし東京ドリーム学園があったなら、アメリカによるベトナム戦争の真っ只中であったとしたら、当然のことながら、ベトナムからの留学生はいなかったでしょう。
アメリカの東アジアにおける対中・対北朝鮮政策がかわったら、軍事政策が変わり、それこそ集団的自衛権の安保法制を盾に、日本が戦争当事国になることだって十分に考えられます。
2008年時の福田内閣によって「留学生30万人計画」を発表しました。これは、外国人に対して日本の大学への入り口と卒業後の社会の受け入れ体制の改善などを行うなどといった政策が骨子となっています。この政策を具現化するには、日本が平和主義国家である、ということが大前提です。
さて、東アジアを取り巻く地政学的事情は、一触即発の状況でしょうか?そのようなことはありません。少なくとも条文改憲さえされなければ、日本は平和国家です。
東京ドリーム学園に学ぶ学生だけでなく、日本人にとっても、周辺国にとっても、平和が一番良いに決まっています。戦争は、人類最悪の災禍です。二度と再び日本を戦火で乱してはいけません。いやむしろ、平和憲法がある日本こそが、世界平和をリードしていく立場にならないといけません。

"留学生を受けいれる日本の最高学府と東京ドリーム学園

日本における留学生の人数は概ね20万人強が来日しています(独立行政法人日本学生支援機構調査-2018年5月発表)。同調査によると、その内約半数の9万人強が中国人。4万人弱がベトナム人。2万人弱がネパール人となっています。アジアの同胞が、如何に日本の学問や語学に関心が高いか、その表れを示しているといえます。一方で留学生を受け入れる「先」の大学の世界ランキングは、国内最難関の東京大学でさえ世界で39位(2016~2017年;イギリスの教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション発表)を筆頭に、91位に京都大学がランキングされているのが実情です。さらに興味深いのは、シンガポール国立大学北京大学東京大学より世界で上位にランクされていることです。
そもそも、日本の大学の世界ランキングにおける低さは、英語による講義がなさすぎ、という説もあるくらいですから、その一面性は免れないかもしれません。
その他方で、もしも東京ドリーム学園が大学であったらどれくらいのランクに位置するでしょうか?
東京ドリーム学園のカリキュラムを見ると、①日本語能力、②日商簿記、③全経簿記、④日本留学試験、⑤ビジネス実務法務、⑥実用英語技能、⑦コンピューター技能、⑧TOEIC・、英検、⑨ライフケアカラー等々と並んでいるのが分かります。これはこれで簡単なカリキュラムではないですし、単なる日本語学校を超えた、ビジネスコースとしては非常に実践的なカリキュラムの内容といえるでしょう。しかしこの範囲では、大学には足りない、幅広い教養や専門性を磨く、また「真理を探究する学問」が不足している感は否めません。
そもそも東京ドリーム学園に通う留学生は教養や基礎『理論』などの専門性を要求していないのでしょうか?
それも違うでしょう。それなら、世界ランキングの必ずしも高くない日本の難関国立大学に入る理由はない。世界大学ランキング200位圏外の私立大学なんてもってのほかになります。
いやそのためにこそ、東京ドリーム学園のような存在が必要なのです。
通常、ほとんどが日本語のみで実施されている日本の大学の授業に着いて行けるよう、先ず東京ドリーム学園で日本語と英語、さらにビジネススキルを身につけ、日本の大学に入学したらよいでしょう。そうすれば、彼ら/彼女らが母国に帰り、あるいは国際ビジネスの中で活躍できるものと思います。

東京ドリーム学園と日本のグローバルスタンダード

かつて1990年代後半に、我が国でとかく喧伝された「グローバルスタンダード」。これは、ひっきょう「アメリカンスタンダード」に違いありません。それが火を観るより常識であったことが今明らかになっています。その昔、東アジアから東南アジアからの国からみれば、「国連でも、結局日本はアメリカの投票マシンに過ぎない」と映っていたようです。
現在はもっと露骨で「集票マシン」になっています。今回のTPPでも自らのプライドも、自国の農業や各産業の利益も、まさにかなぐり捨てています。
米国の大統領選はこれからが最後のピークになるでしょう。それにしても不思議なのは、米民主党ヒラリー・クリントン候補も、あるいはまた共和党のトランプ候補も、TPPを消極的なのに、何故日本の政府はTPPを批准したがるのでしょう?アメリカがクシャミをしたら日本は風邪をひく、といわれるほど日本の外交は、昔から対米一辺倒といわれてきました。日本がアメリカの空気を読めないのでしょうか?それとも、米大統領が二人揃って本音を語っていないのでしょうか?
TPP承認案と関連法案が、秋の国会で審議入りすると永田町では囁かれているそうです。東京ドリーム学園に学びに来ているアジアの学生は、TPPについて一体どう見ているのでしょうか?日本の産業を何故アメリカに差し出すのであろうか、と考えるに違いありません。
日本の食糧自給率が40%を切っている中で、日本の農産物を生産する酪農漁業、つまり第一次産業を破壊するTPPを優先してまで、日本はアメリカに忠義立てする必要があるのか、と東京ドリーム学園に通うアジアの学生は不思議がるに違いありません。第一次産業の破壊だけでは済まずに、TPPは日本の第2次産業を含めて関税を撤廃し、かつ薬の特許期間、著作権の保護問題、外国企業による国家の提訴(ISD条項)など深刻かつ多岐にわたる問題を抱えています。わたしは今すぐ巣鴨の東京ドリーム学園にいってアジアの同胞学生たちに聞いてみたい気がします。
恐らく東京ドリーム学園の賢明な学生なら、「アメリカの大統領選は、ヒラリーで決まりです。そして彼女は本音ではTPPを推進する。日本政府筋はそれを先読みして、TPPを推し進めるでしょう」と言う気がしてなりません。

続々日本の国際化と東京ドリーム学園

江戸時代に200年鎖国を続けていたわが国ですが、「攘夷」運動もあり、国を巡って諸々意見が分かれるものの、およそ150年前に欧米との開国に踏み切ったとみていいでしょう。以来日本は、世界各国と通商条約を締結し、経済的にも、政治的にも国際化を展開してきました。軍事的にもさしあたり、「日英同盟」の強化を通じた富国強兵政策を貫徹し始め、「日独伊三国同盟」という恐怖の枢軸関係を構築し、国際化を勘違いして軍事同盟を結んできました。その結果が1945年8月6日・9日を前にした全土を惨劇かさせてことは忘れてはいけません。国際化と海外軍事展開は厳に区別してかかることが重要です。
東京ドリーム学園は国際化をどのように捉えているのでしょうか?東京ドリーム学園は東アジアや東南アジア、中央アジアをはじめ、日本で国際ビジネスを身につけて母国で活躍したいと考えている、広くユーラシア大陸の同胞を受け入れ、国際ビジネスに力を発揮してほしいと願っています。一方で東京ドリーム学園は、海外に留学し、あるいはまた国際ビジネスの環境下で活躍したい日本人の国際感覚の取得や異文化の受容や、英語力を上げたい人の役に立ちたいとも願っています。国際交流の平和的側面に光をあて、世界平和に貢献していきたいと、東京ドリーム学園は強く望んでいるのでしょう。
これに対し、1951年に日米安全保障条約/サンフランシコ条約は締結され、1960の新日米安全保障条約が発布。日米『相互協力』体制が新しく効力を発生させました。それが奇妙なことに、いつからか、日米安保関係は、何故か「日米同盟」と呼ばれるようになっています。たしか、21世紀に入って、日本では小泉内閣、米国のブッシュJr.体制に入ってから、「日米同盟」関係が盛んに喧伝されるようになりました。だから今さら2015年の秋強行採決され、2016年3月末に施行された「平和と安全保障関連法」が今の時代に必要とは言えません。なぜなら戦争ができる国になるための集団的自衛権を容認する必要性は全く根拠がないからです。平和を希求するために現日本国憲法があってこそ、またそれを拡大解釈しない考え方こそが、東京ドリーム学園の理想が貫徹できるものと信じてやみません。